「田園ベーカリー」
お盆の時期にレンタルの自転車で松本市街をぶらぶら。高砂通りにふと現れる、新しいけどレトロな和の建物。「こんなところにパン屋さん、あったんだー」ということでお邪魔しました。
田園ベーカリーの店がまえ
新しくて綺麗なお店です。
入ってすぐにガラスケースのパン棚(写真ないけど)、真っ白な壁に茶色いパン棚が映えるシンプルな内装(写真ないけど)。右奥には壁に据え付けのテーブルがあり、5席のイートインスペースが(写真ないけど)。
店内で食べる方に向けて、コーヒー、紅茶、ココアなど、1杯180円でドリンクも提供しているようです。
コーヒー飲まないからわからないんですけど、「コーヒー(ストロング)」って、濃いめってことですかね。パン食べて血糖値上がっても眠くならないように強めってことなんですかね。
とても静かで、ガラス戸を通して入る光だけでほんのり明るい店内。なんだか倉の中にいるみたい。広くないし、明るいわけでもないのに居心地がいいのです。ふしぎ。
午後もいい時間だったので、パン棚には10個程度しか残っていませんでした。残念、でもそりゃそうだよね。
田園ベーカリーでお話を聞いてみた
お話を聞かせてくれたのは、お店の奥様・千佳さん。ご夫婦でやられていて、パン作りはご主人が担当だそう。
― 綺麗なお店ですね、お店できてどれくらいですか?
6年前からです。もともと東京にいて、主人が脱サラしてパン屋で修行を始めたんですよ。数年修行して、お店を開こうと思ったときに松本が候補になりました。
― 脱サラでパン屋さん……! 失礼ですが奥様は反対されなかったんですか?
んー、そりゃあ、ねえ。でも、やるっていうんだから、それなら一緒にやるしかないでしょう(笑)
― …そういうものなのか、すごいなあ。でも、どうして松本に?
前に一度訪れたことがあって、いろいろな地方都市の中でもちょうどいいなって思ったんです。自然もたくさんあるけど、程よく都会で。それにね、この物件がよかったんですよ。
― 綺麗なお店ですよね。掘り出し物だったんですか?
そうなんです。ここ、外観可愛いでしょ? 実は私たちは何もしてないんですよ。松本市が街づくりに力を入れていて、ここの大家さんの外観リフォームを市がサポートしてくれたんですって。新しくて綺麗で、しかも自分の気に入った外観で借りることができたんです。
内装は私たちが考えたんですが、外観に合わせることを考えるだけでいいから。時間も、そしてお金もかからなくて本当にラッキーって。でも、当時はそんなにパン屋さんもなかったんだけど……ここ最近、急に増えちゃってねー。本当にねー。
ねー。だから私たちはこうしてお店をめぐろうとしているわけなんですけどねー。他にお客様がいないこともあって、ビジネス視点の話をしてくれました。なんとオープンマインドな奥様。カラッとしていて、とても話しやすい方です。
田園ベーカリー、このパンがおすすめだよ
いろいろ楽しくお話を聞いて時間がたってしまいましたが、私たちはここにパンを買いにきたのです。
地元の常連さんにも人気の田園ベーカリー。7割がリピーターで、平日はランチの方、休日はバゲットなど食事用に大量購入される方が多いのだそう。「お昼を過ぎたら結構なくなっちゃう日も多い」とのこと。オープンしてから焼くパンもあるため、狙い目は11時くらいだとか。
田園ベーカリーのパンのこだわりは、この3つ。
1.水は近くの源智の井戸のものを使用
「松本は水がいいのでね。シンプルな素材にこだわっています」
2.砂糖・バター・卵は極力使わない
「何にでも合わせやすいパンで、小麦の味を感じて欲しいから」
3.種類は多く、数は少なく、サイズは小さく
「だって、いろいろ食べたいじゃない? 特に女性は」
松本の水で作られた、シンプルで素朴なパン。いいねいいね、期待が高まるね。ということで、残り少ないですが、「この中にあるものでー」と、千佳さんのおすすめパンを聞きました。
田園ベーカリーの人気パン
「私はつぶあんが好きだけど、人気なのはこしあんね(千佳さん)」
千佳さんが好きなパン
「えー、どれも好きなんだけどー、イチジクかな!(千佳さん)」
この、「どれも好きなんだけどー」とパン棚を右往左往するさまがすごくかわいくて忘れられません。ご主人の作ったパンがどれも好きで目移りしちゃうってステキー。
あの人がいつも買うパン
地元の常連さんの中でも印象的なおばあちゃんがいて、クランベリーのパンを一度に大量買いされるのだそう。相当好きなのかな? この日は売り切れていたけど、いいな、食べてみたいな。
ということで、おすすめに登場したあんぱん2種とイチジクのセーグル、そしてもうひとつ個人的に気になったゴルゴンゾーラとくるみのパンを購入しました。
久江さんと一緒に食べてみた
持ち帰って、おいしい食べ物に目がない義母の久江(ひさえ)さんと、ハード系が大好きな夫と3人でいただきました。ちなみに私は、おいしけりゃなんでもいいけど強いていうならシンプルもっちり系が好きです。
上:こしあんぱん 右:くるみとイチジクのセーグル 下:粒あんぱん(よもぎ) 左:ゴルゴンゾーラとくるみのパン
丸いパンが並ぶとかわいい。
1.こしあんぱん
「ふわふわしてる、これはおいしいね(久江さん)」
そう、生地がとにかくふんわりやさしく、それでいて厚みがあるのがいいんです。実は私、あんこずっしり系のものが苦手であんぱんも好きではないのですが、口の中であんこ:パン生地=4:6くらいになるのでとても食べやすい。品のいいあんぱんで、甘いパンが苦手な人にもおすすめです。生地の旨味がしっかり強くて、あんこなしでも食べたい。
2.粒あんぱん(よもぎ)
「自然なよもぎだね、色もつけてないし、しつこくなくて好きよ(久江さん)」
これはきっと、「卵とかを極力入れない」パンの代表格なんでしょうね(わからないけど)。よもぎの風味がとても際立っていました。しっかりよもぎ×ほんのり塩味×甘過ぎないあんこという絶妙なバランス。そして私も千佳さんと同じくつぶあん派なので、口の中で主張するあずきの皮に幸せを感じました。
3.イチジクとくるみのセーグル
「イチジクが大きくて食べ応えがあるね、塩分控えめでいいね(久江さん)」
全粒粉の香りが強くて、イチジクの甘酸っぱさによく合う。綺麗に混ざったくるみの食感が楽しくて、パクパク食べる手が止まりません。生地はちょっとパサついたタイプだけど、香り、歯ざわり、味わいがそれぞれ楽しめるようにこの生地にしたんだろうな。
4.ゴルゴンゾーラとくるみのパン
「まー、おしゃれな味。ゴルゴンゾーラってなに?(久江さん)」
ゴルゴンゾーラは、ちょっと癖のあるチーズのことです。息子さん(夫)が好きなんですよ。ゴルゴンゾーラの塩味がぶわっと広がって、これはもう、しょっぱおいしい。お酒に合う。ざくざくとしたくるみがアクセントになっていて、チーズの勢いをマイルドにしてくれています。ワインバルで出されたら嬉しいやつ。
写真では黙々と食べていますが、「あら、これもおいしい」「これもいただいていいの?」とどんどん食べた久江さん。「あーおいしかった、ありがとう」をいただきました。
お店で伺ったとおり、小麦や素材の味を感じられるようなシンプルで素朴な味わいの田園ベーカリーのパン。見た目は普通、だけどひとくち食べると丁寧に作られているのがよくわかる。飽きがこなくて、ついつい手が伸びてしまうような優しいパンでした。いろいろなパンを食べたらこういう味に戻ってくるんだろうな。
ごちそうさまでした。
ところで、なんで「田園ベーカリー」? 聞くのを忘れたけど、松本の田園風景に惚れ込んだのかしら。きっとそう。と思った瞬間、松本経済新聞の記事を見つけました。
ご夫婦のお名前、園田さんなんだって。
お店情報
<営業時間>
[月~金]10:00〜18:00
[土・日]10:00〜17:00
なくなり次第終了
<定休日>
毎週火曜日
毎月第1水曜日・第3水曜日・第5水曜日
<住所・アクセス>
長野県松本市中央3-1-12
・駅からのアクセス
JR松本駅 徒歩11分(860m)
北松本駅 徒歩17分(1.3km)
松本電鉄上高地線 / 西松本駅 徒歩14分(1.1km)
・バス停からのアクセス
松本電気鉄道 並柳団地線 飯田町 徒歩3分(170m)
松本電気鉄道 東コース 蔵シック館 徒歩3分(180m)
松本電気鉄道 入山辺線01 大橋通り南 徒歩3分(190m)
<電話番号>
0263-31-0073
<その他情報>
予約・お取り置き:可・電話連絡にて受付
支払い方法:現金のみ
イートインスペース:あり(5席)
ドリンクメニュー:あり(コーヒーなど、1杯180円)