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松本十帖を日帰りであそぶ ― (1)上品でユニーク、大人の遊び場「松本本箱」

松本駅から車で15分程度にある温泉街「浅間温泉」。温泉好きの私たちは、日帰り入浴ができる「枇杷の湯」「目乃湯」「ホットプラザ浅間」によく寄っていました。

そこに新たに誕生したのが、「松本十帖(まつもとじゅうじょう)」です。

旅館再生に留まらず浅間温泉エリア一体をリノベーションするというコンセプトで、雑誌で知られる自遊人プロデュースの施設。

最初は2人で訪れたのですが、とても良かったので翌々日に久江さんを連れて再訪しました。最初は単純なミーハー心で遊びに行きましたが、すっかり気に入り「松本行ったら毎回“松本十帖の日”を作って行きたいね」と話すほど。

さて今回は、いくつか点在する施設の中でもメインどころである「本箱」を紹介します。

Book store「松本本箱」の大冒険

貞享3(1686年)創業の旅館「小柳」を現代に蘇らせたその佇まいがどんなものか、この看板を見れば想像できますよね。

そう、これこれ、いいですよね。この雰囲気が想像以上のクオリティで待っているんですよ。

本箱の建物に入る前に、温泉「小柳の湯」があります。こちらは宿泊者限定。「柳の湯」という上級武士の湯の隣にあった下級武士(“小”柳)の湯、という意味だそうです。えぇ〜〜〜しゃれてる〜〜〜〜。

そのままお庭を15秒くらい降っていくと……

ホテル、ブックストア、バーがひとつになった「松本本箱」が現れます。

はぁー、たっぷり広がった長のれんがたまりません。

中はホテルのフロントなどもあるのですが、まずは「Book store 松本本箱」を探検します。宿泊者は24時間いつでも利用できて、私たちのような外来利用は12:00〜19:00。

「知らなかった世界に触れ合える本」が約1万2000冊も選書されていて、あらゆるところにイスがあり、気になった本を好きなだけ読み耽って、購入することができます。

ここは「本の道」。

ぽつぽつとお客さんがいますね。道沿いにはテーマごとにキュレーションされた本が並んでいます。

左に目を向ければテラス。本を持ち出して読むこともできます。

途中からのカーペットエリアは、靴を脱いで。どこかで見たことある高そうなイスにとりあえず久江さんに座ってもらいました。

人に紹介したいけど、人は増えてほしくない本屋さん

さて、ここまでは“今流行りのおしゃれな本屋さん”の印象が強いのですが、

おっと、この感じは六本木のアートナイトとかそういう場所で触れる世界観。ただの本屋では終わらないにおいがする。

きました、踊り場の壁一面にナウシカの原作! センスの塊!

もうここ大好き。まだ一冊も本を手に取ってないけど大好き。

もちろんこのように、テーマと置いてある本は魅力的ですよ。でも正直、初回訪問は本のセレクトをしっかり楽しめないかもしれない。本より先に空間が魅力的すぎて。私たちだけかもしれないけど。

さて、フロアを移動すると

何やら本棚の中に空間が。

すごい! 粉うことなきおこもりスポット! これ入っていいの!? いいみたい!

収容人数やつくりはさまざまですが、中には机と座布団、テーブルランプが備わっていて、黙々と勉強中の学生さんや、友達同士で好きな本を寝そべって読んでいる女の子たちがいました。

あ、散々騒いでいますが、本屋さんなので基本的に静かですよ。

私も久江さんと入ってみます。ここはゆったりしていますね。

同じエリアには、写真ではわかりにくいのですが懐かしい雰囲気の手洗い場とスツールがあります。ちょっとずつ、建物のいい違和感が出てきました。

(車にマスクを忘れた息子のために用意してくれている久江さん)

正解は、のれんの先にあります。

オトナ本箱へ

大浴場ーーーーー(をリノベーションした空間)!

この「オトナ本箱」は、主に写真集がずらりと並んでいます。いいオトナたちが、だらりと横になって写真集やら本を読んでいるーーーー

久江さんに、小さめの浴槽に入ってもらいました。こっちはかつて熱いお湯だったのかな。それとも水風呂かな。

息子とツーショット。

からのお風呂で読書。いやーもうワクワクしますね。本当に何時間でも、掛け値なしに一日中いられる場所です。

こども本箱へ

またフロアを移動すると、今度は「こども本箱」。

入ると視界一面が本棚。だけど、ちょっとだけ道がある……なんと、絵本の本棚による迷路ができていました。

ここも元浴場。洗い場のカランがそのまま残っています。

迷路を抜けた先には。ボールでいっぱいの浴槽が。ボールに体を預けたり、絵本読んだり、迷路をもう一度回ってみたり、ボールを投げてみたり。こども、大忙しだね(でも飛び込みはだめ)。

こどものための空間だから、近くのトイレはベビーベッド付きで授乳室も2つあります。ただ、こどものための空間だから、オトナが通ると頭をぶつける高さなので中腰必須。

おまけ:本箱Barで大人のクラフトシードル

入口入ってすぐ、本箱に進む前の空間に広がるのはグリルダイニング「三六五+二(367)。なんだけど、本箱Barもここでいいのかな? 中に入って、ビールや日本酒、ワイン、もちろんソフトドリンクも楽しむことができます。

私は運転をしない(できない)ので、信州発酵研究所のシードル(辛口)をいただきました。これが美味しかった! シードルが盛り上がっているというだけあって、今まで持っていた“甘いりんごの炭酸”というイメージを覆すドリンクでした。

ここも料理に関わる本が一面ぐるりと並んでいます。

本は、かつて誰かが想いを込めて生み出したかけがえのない作品。そのたくさんの情熱にこうして静かに包まれるというのは、幸せなことだなと改めて思う空間でした。

「静かなる情熱」。

今回、松本十帖に訪れて感じたキーワードです。

この記事を書くにあたり、松本十帖のコンセプトや経緯などの各種記事を拝見しました。ものすごい情熱と覚悟をもって臨まれているプロジェクトであり、思い返せばその情熱は、空間や陳列された品々からも確かに伝わってくるものでした。

それは耳元で叫ぶ激しさではなく、優しく、でも確かに圧を感じる、静かなる情熱です。

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今、この時勢にこういう情熱に触れられたのは幸福な出会いだったなと感じています。またね、ここで働いているスタッフさんも素敵だったんです。

その話は、その(2)で。

<営業時間>
24h open(日帰り利用は12:00-19:00)

<定休日>
不定休

<住所・アクセス>
長野県松本市浅間温泉3-13-1

・駅・バス停からのアクセス
北松本駅から4,079m
松本駅お城口から32系統信州大学経由浅間温泉線 浅間温泉バス停から徒歩4分

※日帰り駐車場は松本十帖徒歩5分程度の場所にあります

<電話番号>0263-46-0500

<その他情報>
予約・お取り置き  不明
支払い方法 各種 この日はPayPayを使用
イートインスペース あり
本の購入 可

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